特定継続的役務提供Q&A

特定継続的役務と特定継続的役務提供

Q1「特定継続的役務」とはどういうものですか。
A1 特定継続的役務の定義は法第41条第2項で次のように規定されています。
1. 役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもって誘引が行われるも
2. 役務の性質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの
この「特定継続的役務」は、美しくなる(「身体の美化」)、英語が上達する(「知識若しくは技能の向上」)といった役務サービスの提供を受ける者の目的(「心身又は身上に関する目的」)を達成するために、一定期間、継続的に役務提供を受ける必要があるものを指します。 逆に、理髪、マッサージ等の基本的に1回の役務提供で完結し、継続的に役務提供を受ける必要がない役務は該当しません。
Q2「特定継続的役務提供」について、役務ごとにどのように定められていますか。
A2 政令で定める下記の「特定継続的役務」を一定期間を超える期間にわたり、一定金額を超える対価を受け取り提供(役務提供を受ける権利の販売も含む。)するものが規制対象となります。
「対価」については、入学金(入会金)・受講料・教材費・施設利用費、関連商品の販売等、契約金の総額が5万円を超えていると対象になります。
<役務ごとの定義、期間及び金額>
特定継続的役務 期間 金額
いわゆるエステティック
人の皮膚を清潔にしもしくは美化し、体型を整え、または体重を減ずるための施術を行うこと
1月を超えるもの いずれも5万円を超えるもの
いわゆる語学教室
語学の教授(入学試験に備えるためまたは大学以外の学校における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く)
2月を超えるもの
いわゆる家庭教師(※1)
学校(小学校および幼稚園を除く)の入学試験に備えるためまたは学校教育(大学および幼稚園を除く)の補習のための学力の教授(いわゆる学習塾以外の場所において提供されるものに限る)
2月を超えるもの
いわゆる学習塾(※1)
入学試験に備えるためまたは学校教育の補習のための学校(大学および幼稚園を除く)の児童、生徒または学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る)
2月を超えるもの
いわゆるパソコン教室
電子計算機またはワードプロセッサーの操作に関する知識または技術の教授
2月を超えるもの
いわゆる結婚相手紹介サービス
結婚を希望する者への異性の紹介
2月を超えるもの
※「学習塾」及び「家庭教師」には、小学校又は幼稚園に入学するためのいわゆる「お受験」対策は含まれません。「学習塾」には、浪人生のみを対象にした役務(コース)は対象になりません。(高校生と浪人生が両方含まれるコースは全体として対象になります。)
※役務の内容がファックスや電話、インターネット、郵便等を用いて行われる場合も広く含まれます。
Q3いわゆるチケット制や会員権制の取り扱いについて教えてください。
A3有効期限のないものの扱い
いわゆる「チケット制」や、「会員権制」のエステティック、語学教室等についても、基本的に規定の対象としています。
このうち、有効期限のあるものについては、有効期限内はいつでも役務提供を受けることが可能なことから、有効期限をもって役務提供期間とみなし、これが基準期間を超えれば対象となり、また有効期限のないものについては、いつでも使用可能ということから、役務提供期間は常に基準期間以上であるとみなします。
なお、こうしたチケットや会員権を、役務提供を行う事業者以外の第三者が販売する場合には、「特定権利販売契約」として、同様に法律の対象となります。

書面の交付

Q4特定継続的役務提供について、交付すべき書面というのはどのようなものですか。
A4書面の交付について
特定継続的役務提供を行う場合は、事業者は契約締結までと契約締結時の2回、それぞれ書面を交付することが義務付けられています。
概要書面について
契約締結までに交付するいわゆる概要書面については、消費者が契約を締結するに当たって知っておくべき必要な情報を提供するものです。
契約を締結するまでの間に、具体的には、契約を締結する等のために事業者の店舗を訪れた消費者に対して、役務内容等の説明とあわせて交付することになります。
契約締結時書面について
契約を締結した後、当該契約の内容及び当該契約に関して法律で定められた事項について情報提供するものであり、「遅滞なく」交付されるべきもので、特段の事情がない限り、契約の締結を行ったその場で交付することとなります。

契約の変更

Q5役務提供期間や金額等の契約内容が変更された場合の法律の適用について教えて下さい。
A5契約変更の場合の基本的な考え方
役務提供の期間や金額、関連商品等の契約の内容を変更する場合の法律の適用についての基本的な考え方については以下の通りです。
・当初の契約が規制対象外である場合
当初規制対象外であった契約の内容が変更された場合、基本的には新たに契約が締結された場合と同様に考えて、変更後の契約内容が法律の要件に該当する場合には、契約変更の時点から新たに法規制の対象となり、書面交付義務が発生し、クーリング・オフ、中途解約ができることになります。
(例外的ケース)
変更後の契約内容のみを見た場合に法律の要件に該当しない場合であっても、当初の契約と実質的に一体と見なされる場合には、全体として法律の要件に該当すれば、全体として規制対象となる場合があります。
なお、例えば当初の契約において、外形上「一か月」としていても当然に契約期間の延長を前提としており実質的に法律の要件に該当している場合には、そもそも当初の契約の時点で規制対象に該当するものと考えられます。
・当初の契約が規制対象であった場合
当初から特定継続的役務提供に該当する場合については、契約締結時に期間、金額等法律上規定された契約内容を全て書面により明らかにしなければならないのが原則です。したがって、事業者が事後的に一方的にその内容を変更することはできません。当事者の合意により契約内容を変更する場合の法律の適用についてはその実質に着目して判断することになります。すなわち、新たな契約が締結されたと考えられる場合には、新契約について法律の要件に該当するか判断し、該当する場合には新たに書面交付等を行い、新書面交付の時点を起算点としてクーリング・オフをすることができることになります。他方、契約内容の変更にとどまる場合には、その時点で改めてクーリング・オフをすることはできませんが、変更後の内容について書面で明確にする必要があると考えられます。

禁止行為

「著しく事実に相違する表示」について

Q6誇大広告の禁止で、「著しく事実に相違する表示」、「実際のものよりも著しく優良・有利であると人を誤認させるような表示」の具体例を教えて下さい。
A6誇大広告の禁止
通信販売と同様、特定継続的役務提供における広告は、特定継続的役務提供事業者が一般消費者に対して勧誘する際の手段となっており、かつ顧客は効果の発生又は目的の実現を謳った広告をもって誘引されることが多いため、虚偽・誇大広告を禁止し、消費者トラブルの未然防止を図っています。
虚偽・誇大広告の基準
虚偽・誇大広告の基準として、「著しく事実に相違する」と「実際のものよりも著しく優良・有利であると人を誤認させる」の二点を設けており、具体的には個々の広告について判断されることになりますが、例えば「一般消費者が広告に書いてあることと事実との相違を知っていれば、当該契約に誘い込まれることはない」等の場合に該当すると考えられます。
誇大広告の具体例について
具体的には、当該役務を直接提供する者に関する事項(施術者、講師等の資格や能力等)に関する誇大広告や、「国又は地方公共団体の関与」に関して「文部大臣認定」、「経済産業省推薦」、「東京都公認」等の虚偽の表示をした場合が挙げられます。
また、役務の提供により著しい効果の発生、目的の実現があった者を広告上で紹介し、「体重-○○kg」、「期末試験+○○点」等の著しい効果の発生、目的の実現を強調した広告が見受けられますが、こういった場合の誇大広告等に該当するか否かの判断基準は、他の不特定多数についても、同様の役務提供により同様の効果の発生、目的の実現を、実態上は不確実であるにもかかわらず、広告上あたかも確実であるかのように謳っているか、又は謳っていると見なし得るか(すなわち、あたかも役務提供を受ける全ての者について、このような効果があると誤認されるような記述、表現があるか否か)によることとなります。具体的には、例えば、「-○○kg、あなたにも保証します。」といった記述、根拠がないにもかかわらず「+○○点アップを実現します。」との記述は、誇大広告に該当する可能性が高いと考えられます。

「不実の告知」について

Q7いわゆる「不実の告知」(法第44条第1項)と「判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」とは具体的にどのようなものを指すか教えて下さい。
A7「不実の告知」とは?
「契約の解除を妨げるため」とは主としてクーリング・オフ及び中途解約の行使を妨げる不当行為を念頭においており、こうした規定に基づく消費者の正当な行為を妨害するために「不実」を告げることをいいます。
「判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」とは?
顧客又は特定継続的役務の提供を受ける者が、契約を締結する場合又は解除をする場合の意思形成において重大な影響を及ぼす事項であって、当該契約に関連のある事項を指します。
具体例について、
・契約締結時に、「いつでも必ず希望の時間に(役務提供の)予約が取れます。」との説明を行っておきながら、実際には予約が殺到している等、これに応ずることが困難であること
・契約解除の申し出た時に、「あなたの場合は特殊事情であり、解約はできないことになっている。」といった不実の説明を行い契約の解除を回避すること
等が挙げられます。

「威迫困惑」について

Q8禁止行為の規定(法第44条第3項)の「威迫して困惑させる」こととは具体的にどのような行為を指しますか。
A8
「威迫」とは脅迫に至らない程度に人に不安を生ぜしめるような行為をいい、「困惑させる」とは、字義どおり困り戸惑わせることを指します。
具体例について、
・「契約書にサインしてくれないと困る。」と声を荒げられて、誰もいないのでどうしてよいかわからなくなり、早く家に帰りたくなって契約をしてしまった
・エステティックサロンの無料体験を受けているときに衣服を脱がされた状態で多数の者に囲まれて執拗に勧誘され、こわくなって契約をしてしまった
・クーリング・オフを申し出ると、業者から支払の催促の電話があり、「残金を支払わないと現住所に住めなくしてやる。」と言われ、不安になってクーリング・オフの行使を思いとどまった
等が挙げられます。

クーリング・オフ

Q9関連商品のクーリング・オフについて教えて下さい。
A9関連商品のクーリング・オフ
役務の提供を受けるに当たって、役務の提供の際に購入する必要があるとして購入した商品についてもクーリング・オフが可能です。
例えばエステティックサロンで施術の際に使う化粧品や家庭において継続的に飲む必要があるとして販売する健康食品、英会話教室におけるカセットテープの販売のように、役務の提供を受ける際に消費者が購入する必要のある商品(以下「関連商品」という。)の販売等が行われる場合が見受けられます。
このような場合に、語学教室そのものについてクーリング・オフが認められても、カセットテープ等の関連商品の販売に係る契約についてもクーリング・オフが認められないと、消費者が十分に保護されないことになるため、関連商品に係る販売契約についてもクーリング・オフをすることができることになっています。(関連商品についてのみのクーリング・オフはできません。)
関連商品の指定
取引の安定性を確保する観点から、クーリング・オフを行使することができる関連商品は、一定の商品に限定されています。 具体的な対象商品は、エステティックについては
いわゆる健康食品、化粧品、石けん(医薬品を除く。)及び浴用剤、下着類、美顔器、脱毛器、語学 教室、家庭教師、学習塾については 書籍(教材を含む。)、いわゆるソフト(カセット・テープ、CD等)、ファクシミリ機器、テレビ電話が指定されています。
消耗品について
関連商品のうち、その一部を使用又は消費しただけでもその商品価値が全くなくなってしまうものとして政令で指定された一部の商品(いわゆる消耗品)については使用又は消費してしまった場合にはクーリング・オフができなくなります。
このような消耗品として指定されている商品は健康食品、化粧品、石けん(医薬品を除く。)及び浴用剤です。
消耗品の「使用又は消費」について
具体的には、当該商品自身を明らかに「使用又は消費」していれば当然ですが、当該商品自身を「使用又は消費」していない場合であっても、例えば正味量表記商品のように密封されていること自体に意味のある商品を開封した場合等は「使用又は消費」したことになります。したがって、一般的には単に商品の包装を開いただけでは使用又は消費には当たりません。

関連商品の販売形態

Q10関連商品を役務提供者が指定する者から購入しても良いし、消費者が自ら市中で用意しても良いとしている関連商品はどうなりますか。
A10「代理又は媒介」について
関連商品については、役務提供事業者又は販売業者が消費者に販売する場合はもちろん、当該関連商品を役務提供事業者又は販売業者が関連商品の販売を行う第三者との販売契約を代理又は媒介している場合についても、クーリング・オフができます。
「代理」とは、当該関連商品の販売について、役務提供事業者又は販売業者が代理人として関連商品の販売を行う者の名前で関連商品販売契約を締結するもので、「媒介」とは、消費者と関連商品の販売を行う者との間を取り持つことです。具体的には、特定の業者との了解のもとに、関連商品を当該業者から買うべきことを指定すること等がこれに該当します。
市中業者は?
質問の場合、指定した業者からの購入は関連商品となりますが、一般の市中からの購入については関連商品となりません。
従って、指定した業者からの購入についてのみが関連商品として書面へ記載することとなります。
Q11関連商品と推奨品の違いについて教えて下さい。
A11義務的購入と推奨品について
今回の法改正において、「関連商品」とは、「役務の提供を受ける者が購入する必要のある商品」であり、中途解約及びクーリング・オフの対象となります。
また、特定継続的役務を提供する事業者は、概要書面及び契約締結時の交付書面に「役務の提供を受ける者が購入する必要のある商品がある場合にはその商品名」及び「支払う費目毎の金額」を記載することとなっています。
従って、外形的には、役務の提供を受けるにあたって購入する必要のある商品として契約締結時の交付書面に記載されたものが「関連商品」であり、役務の提供を受けるにあたって必ずしも購入する必要がないものであって契約締結時の交付書面に記載していないものについては、いわゆる「推奨品」でありクーリング・オフや中途解約の対象外となります。
関連商品と交付書面について
消費者としては、契約の際、交付された書面をよく確認し、役務の内容等必要事項を確認する必要があります。特に、購入する必要がある商品と説明を受けた商品については、関連商品として交付書面に記載されているか、確認の上、契約を締結することが大切です。
なお、役務の提供契約の際にこれは買わないといけないということを役務提供事業者が説明していた場合等、「役務の提供を受けるにあたって購入する必要がある商品」の販売を行っているにもかかわらず交付書面に記載がない場合は、書面不備により行政処分や刑事罰の対象となります。

下着のクーリング・オフ、中途解約について

Q12下着等、お客様が身につけられた場合でもクーリング・オフ期間中なら無条件に引き取らなければなりませんか。また、クーリング・オフの期間経過後も、使用されている場合でも使用料だけ貰って引き取る必要がありますか。
A12原則として関連商品の返品には応じる必要があります。
特定継続的役務提供契約のクーリング・オフの場合、消耗品については使用又は消費した場合、クーリング・オフの対象から除くことができます(契約締結時の書面にその旨記載した場合に限る。)が、この消耗品として指定されているのは化粧品、健康食品等であり、下着は指定されていません。
従って、クーリング・オフの場合は無条件で引き取ることになり、クーリング・オフ期間経過後の中途解約の場合には、法律で定める上限の範囲内(下記※参照)であらかじめ交付書面で明示された方法で精算することとなります。なお、中途解約の場合、商品が返されない場合は販売価格相当額を請求することとなりますが、商品の返品には応じる必要があります。
※関連商品の中途解約と請求金額の上限(法第49条第6項)
当該関連商品が返還された場合
当該関連商品の通常の使用料に相当する額(当該関連商品の販売価格に相当する額から当該関連商品の返還されたときにおける価格を控除した額が通常の使用料に相当する額を超えるときはその額)
当該関連商品が返還されない場合
当該関連商品の販売価格に相当する額
当該契約の解除が当該関連商品の引渡し前である場合
契約の締結及び履行のために通常要する費用の額

中途解約

Q13中途解約について教えてください。
A13中途解約制度
消費者(役務の提供を受ける者)は特定継続的役務提供契約を、クーリング・オフ期間経過後も、その契約期間中であれば、いつでも、理由の如何を問わず中途解約することができます。関連商品を購入している場合もあわせて中途解約できます。(法第49条)
中途解約の場合には、クーリング・オフの場合と異なり、消費者は事業者に対して、既に提供された役務の対価分(例えば契約後3か月で解約した場合には3か月分の役務の対価)と法令で定める一定額以内の損害賠償を支払う必要があります。事業者側が既にこの額を超える金額を受け取っている場合には、超過部分を速やかに返還しなければなりません。
損害賠償額等の制限
中途解約の際に、事業者が消費者に対して請求し得る損害賠償等の上限額を以下の通り定めています。
契約期間が満了した場合、関連商品の解約はできますか?
法律に基づく関連商品の中途解約については、役務提供契約本体が中途解約された場合においてのみ可能であり、契約期間が終了した場合は契約自体が終了しているので、役務提供契約の本体の中途解約はできず、したがって関連商品のみの中途解約はできません。

<中途解約時の損害賠償等の上限について>
(1)契約の解除が役務提供開始前である場合
契約の締結及び履行のために通常要する費用の額として役務ごとに政令で定める以下の額。
  • エステティック/2万円
  • 語学教室/1万5千円
  • 家庭教師/2万円
  • 学習塾/1万1千円
  • パソコン教室/1万5千円
  • 結婚紹介サービス/3万円
(2)契約の解除が役務提供開始後である場合
イ 提供された特定継続的役務の対価に相当する額
ロ 当該特定継続的役務提供契約の解除によって通常生ずる損害の額として役務ごとに政令で定める以下の額の合計額
  • エステティック 2万円又は契約残額の10%に相当する額のいずれか低い額
  • 語学教室 5万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額
  • 語学教室 5万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額
  • 家庭教師 5万円又は当該特定継続的役務提供契約における1月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額
  • 学習塾 2万円又は当該特定継続的役務提供契約における1月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額
  • パソコン教室 5万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額
  • 結婚紹介サービス 2万円又は契約残額の20%に相当する額のいずれか低い額

初期費用について

Q14中途解約の場合、初期費用についてはどう考えますか。
A14初期費用について
中途解約の場合の交付書面の作成費、印紙税費、会員入力費等のいわゆる初期費用については以下のように取り扱います。
役務提供開始前については、この初期費用は「通常要する費用の額」として、政令で定める上限額の範囲で請求することとなります。
役務提供開始後については、基本的には「提供した役務の対価に相当する額」の中に含まれ得る範囲について、契約締結時の交付書面に記載した精算方法に定めるところにより請求することが可能であると考えられますが、実際に請求が可能であるか、また、請求できる額については個別ケースにより異なります。
なお、役務提供開始前の「契約の締結及び履行に要する費用」として政令で上限(1万1千円(学習塾)~3万円(結婚紹介サービス)が定められていますので、役務提供開始後に初期費用を請求する場合にもこれが目安となると考えられます。
年間諸経費としてコピー費、光熱費、冷暖房費を入会時に頂いていますが、これは初期費用となりますか。
初期費用とは契約締結のために要する入会諸手続、レベルチェック又はクラス分けテストに要する費用等が考えられます。
従って、コピー費、光熱費、冷暖房費は月々の諸経費となり、初期費用には該当しません。
Q15役務提供開始後の中途解約の場合、入学金、入会金はどのように取り扱われますか。
A15入会金、入学金の性格
役務提供開始後の中途解約時の精算について、事業者は「提供された役務の対価に相当する額」と「通常生ずる損害の額」を超える額は請求することができません。また、「通常生ずる損害の額」については役務ごとに上限が定められています。
エステティック、学習塾等の入会金、入学金については、基本的にはこの精算ルールに従って返還すべき性格のものであり、上記のいずれにも含まれない「入学金(入会金)は返還しない」等の特約は無効になります。
ただし、いわゆる初期費用に相当する部分について既に「提供された役務の対価」として説明できる合理的な費用については請求できると考えられますが、実際に請求が可能であるか、また、請求できる金額については個別ケースにより異なります。
初期費用の精算
役務提供開始後の中途解約の場合、初期費用を精算時に請求するためには、その費用の具体的な内容を事前に明らかにし、中途解約の場合には請求することを明示しておく必要があります。
具体的には、契約締結時に交付する書面の「精算に関する事項」に、初期費用の具体的な内容を記載し、かつ、中途解約の場合には請求することができる旨明示することとなります。
なお、法第49条第2項第2号の「契約の締結及び履行のために通常要する費用」については上限額が定められており、こうした初期費用の請求に際しても上限としての目安となります。

中途解約の場合の精算方法について

Q16役務提供開始後に中途解約した場合、事業者に返還を求めることができる金額はどのくらいですか。
A16損害賠償額の上限
特定継続的役務提供において、役務提供開始後に中途解約した場合、事業者が消費者に請求できる損害賠償額等の上限については、次のイとロを合算した額と定められています。
イ 提供された役務の対価に相当する額
ロ 契約の解除により通常生ずる損害の額として政令で定める額(例えばエステティックであれば二万円又は契約残額の百分の十のいずれか低い額)
初期費用について
このうち、(イ)については中途解約の時点で提供済みの役務の対価について精算するものであり、契約の締結、履行に要した費用(いわゆる「初期費用」)についても、これに含まれるものもあると考えられますが、実際にこの「初期費用」を請求し得るか、また、具体的に請求し得る額がいくらになるかは個別ケースにより異なります。
(Q14参照)
中途解約と精算方法について
既に事業者に対して前払をしている場合には、中途解約までに提供された役務の対価に相当する額(イ)と一定額以内の損害賠償(ロ)を差し引いた金額が返還されます。
「提供された役務の対価に相当する額」には次の図のように初期費用に相当する部分と「(狭義の)役務の対価」があります。中途解約するまでに利用したエステ料金・学習塾の月謝等が「(狭義の)役務の対価」です。
なお、こうした「初期費用」を請求するためには、契約締結時に交付する書面に初期費用の具体的な費目、精算方法をあらかじめ明示することとなっています。

「通常の使用料」について

Q17関連商品を中途解約する場合の「通常の使用料」について教えて下さい。また、使った場合に価値が相当低下する商品はどうなりますか。
A17「商品の通常の使用料」について
関連商品を中途解約して返還した場合の「通常の使用料に相当する額」については、レンタル料金等が目安となりますが、当該商品の減価償却費、マージン、金利等を考慮した合理的な額でなければなりません。また、あくまで「通常の」使用料であり、個別事由を反映させることはできません。
具体的な使用料については、商品によっては当該商品を販売する業界において、標準的な使用料率が算定されている場合には、それを参考とします。業界において算定されていない場合は、合理的な額を算出する必要があります。
価値が低下した場合
なお、「販売価格に相当する額から返還された時における価格を控除した額」、すなわち新品と返還された関連商品の中古品としての価値の差額分が「通常の使用料」を超えている場合にはその額が上限となると規定(法第49条第6項第1号括弧書参照。)されており、化粧品や健康食品を開封・消費した場合、書籍に書き込みをした場合のように、関連商品の返還時の価値が低下している場合には、契約締結時の交付書面に記載した精算方法に拠って、その差額分を上限として請求することができます。

役務ごとのQ&A

(1)エステティック

特定継続的役務 期間 金額
いわゆるエステティック
人の皮膚を清潔にしもしくは美化し、体型を整え、または体重を減ずるための施術を行うこと
1月を超えるもの いずれも5万円を超えるもの
Q18植毛、増毛、育毛、脱毛はエステティックとして特定継続的役務に含まれますか。
A18どのような目的を実現させるものかによるものです。
植毛、増毛については、「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し」といういわゆるエステティックの定義には該当しないものと考えられます。
また、育毛については、施術の一過程で「皮膚を清潔にし若しくは美化し」に該当するものがありますが、これらが一過程に過ぎず、実現する目的が異なる場合には該当しないと考えられます。
なお、脱毛については実現する目的(体毛の除去)が「皮膚を清潔にし若しくは美化し」に該当すると考えられます。

役務は無料、関連商品は有料である契約について

Q19エステは無料サービスにして化粧品、健康食品の売買契約とした契約は特定継続的役務提供に該当しますか。
A19契約の実質で判断
特定継続的役務提供として政令で定める金額については関連商品として購入しなければならない商品の価額を含めます。
従って、化粧品、健康食品が関連商品の場合、「本契約は物販のみで、エステについてはサービス(無料)です」とした契約についても、契約の実態を見れば物販と役務の提供が一対の契約であり、役務の提供期間が1月を超え、消費者が支払う金額が5万円を超えている場合には法律の対象となります。
例えば、金額が5万円を超えており、商品購入後、何時でもサービスが受けられるというような場合は特定継続的役務提供に該当することとなります。

エステ契約内容の変更

Q20エステ契約で当初1か月の予定が長引いた場合や、エステ契約後この商品も買う必要があると言われた場合にはどうなりますか。
A20最初に契約の内容を全て明示することが原則
特定継続的役務提供については、契約締結時に期間、金額等法律上規定された契約内容を全て書面により明らかにしなければならないことになっており、一方的にその内容を変更することはできません。また、内容が変更された場合の法律の適用についての基本的な考え方は問5に示したとおりです。
期間の変更
実質的に1か月以内のエステ契約であれば法律が適用されませんが、1か月以内の契約であったものを期間延長することにより、延長後の契約が特定継続的役務提供の要件に該当することとなった場合、その時点で所定の書面を交付することが必要になります。
なお、延長後の契約が要件に満たない場合であっても、当該延長が当初から当然に予定していた場合や、延長前と延長後の契約が実質的に一体であると判断される場合には、一体としてみて要件に該当する場合に当初の契約の時点で法律の対象となります。
関連商品の追加
特定継続的役務提供契約の場合、基本的には契約期間中、将来的に義務的に購入する必要のある商品が想定される場合には、契約締結時に交付する書面に全て記載することとなっており、そこに記載されていない商品について事後的に義務的に購入させることはできません。
従って、のちの段階になって書面に書いていない商品を「この商品を買ってもらわなければならない。」という状況になった場合は、原則として改めて契約を締結する必要があります(両当事者の合意がある場合には、期間、金額等の変更の場合と同様に扱います。)。

(2)語学教室

特定継続的役務 期間 金額
いわゆる語学教室
語学の教授(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校、同法第百二十四条に規定する専修学校若しくは同法第百三十四条第一項に規定する各種学校の入学者を選抜するための学力試験に備えるため又は同法第一条に規定する学校(大学を除く。)における教育の補習のための学力の教授に該当するものを除く。)
2月を超えるもの いずれも5万円を超えるもの

「語学教室」に該当するものの具体例

・英検等の資格試験等のための語学の教授
・外国文化講座で「語学の教授」を行う場合の当該部分
・日本語の習得のための日本語教室

「語学教室」から除かれるもの

学校教育法では第一条で学校の範囲として、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校を定め、第百二十四条で専修学校、第百三十四条第一項で各種学校を定めています。
これらの学校の入学試験や学校教育法第一条に規定する学校(大学は除きます。)の教育の補習のために行われる役務提供は「語学の教授」にあたりませんが「家庭教師」や「学習塾」に当たる可能性があります。
これらの「家庭教師」、「学習塾」に該当するものについてはのそれぞれの項を参照して下さい。

(3)家庭教師

特定継続的役務 期間 金額
いわゆる家庭教師
学校教育法第一条に規定する学校(小学校及び幼稚園を除く)、同法第百二十四条に規定する専修学校若しくは同法第百三十四条第一項に規定する各種学校の入学者を選抜するための学力試験(「学習塾」において「入学試験」という。)に備えるため又は学校教育(同法第一条に規定する学校(大学及び幼稚園を除く。)における教育をいう。)の補習のための学力の教授(同項に規定される場所以外の場所において提供されるものに限る。)
2月を超えるもの いずれも5万円を超えるもの

注)小学校又は幼稚園に入学するためのいわゆる「お受験」対策は含まれません。

学校教育法と「家庭教師」

学校教育法では第一条で学校の範囲として、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校を定め、第百二十四条で専修学校、第百三十四条第一項で各種学校を定めています。
これらの学校の入学試験準備(小学校、幼稚園は除きます。)及び学校教育法第一条の学校(大学及び幼稚園は除きます。)の教育の補習のために行われる役務提供は「学力の教授」として「家庭教師」、「学習塾」に該当することとなります。

学習塾と家庭教師の違いについて

学習塾と家庭教師の違いは、役務提供事業者が用意した場所で役務を提供するかしないのかということで区別します。その役務提供事業者が用意した場所で役務の提供を行えば学習塾になりますし、役務提供事業者が用意した場所以外の場所で役務を提供する場合には家庭教師というように区別されます。
個別指導塾の形態は家庭教師に似ていますが、教室に生徒が通って習う学習塾の形態を取っていれば、法律上の学習塾に当たります。
◎「学力の教授」について 理論、知識を教えることにより学力を向上させることと考えられます。
◎ファックスやテレビ電話による学習指導(通信教育)
役務の提供の形態を問わず、ファックスやテレビ電話によって提供されるいわゆる通信教育についても、入学試験や学校教育の補習のための学力の教授にあたれば「家庭教師」に該当します。

Q21特定継続的役務は「有償」で提供される役務と規定されており、教材販売に伴う役務が無料であれば、法律の対象になりませんか。
A21「無料」と「無償」
法第41条第2項中で、特定継続的役務は「有償」で「継続的」に提供される役務としており、無償で提供される場合にまで法律の対象とはなりませんが、無償と無料とは異なり、実質的に「無償」であるかどうかで判断されます。
例えば、通信添削指導が無料とされていても、その役務が経済的価値を有する役務であって役務の提供を受ける者も経済的価値を認識して(すなわち有償であると認識して)いる場合は、有償の役務が提供されているものと考えられ、法律の対象となります。
なお、具体的な「有償」、「継続的」の要件は同条第一項で規定されています。

教材の付帯サービス

Q22教材の付帯サービスとして行われる通信添削やテレフォン学習相談は、「家庭教師」にあたりますか。
A22基本的な考え方
教材販売の付帯サービスが「家庭教師」に該当するかどうかの基本的な考え方は、基本的に次のすべての要件に該当する場合に法律の適用を受けることとなると考えられます。
1. 提供される役務が、「学力の教授」に該当するかどうか。
なお、学力の教授とは、知識や理論を教えることで学力の向上を図ることと考えられます。従って、通信添削、テレフォン学習相談でこうした「学力の教授」を行えば継続的役務に該当することとなります。なお、単なる教材の利用方法の説明、進学情報の提供等は「学力の教授」にあたらないと考えられます。
2. 関連商品と役務の対価その他消費者が支払わなければならない額が五万円を超えること。なお、役務自体は無料という説明であっても、対価性がある場合は該当します。なお、教材に付いている通信添削やテレフォン学習相談が社会通念上、一般にアフターサービスと考えられる場合で、役務の提供が販売の条件となっておらず、消費者もそのように認識している場合は該当しないと考えられます。
3. 当該役務の提供期間が2月を超えるものであること(期限が無い場合や無期限の場合は常に該当します。)。

教材販売時に添削指導・電話指導がある場合について

Q23教材を販売する際、契約書上は教材の売買契約となっていますが、添削指導や電話指導によりわかるまで教えると言って契約をした場合、「家庭教師」に該当しますか。
A23わかるまで教える契約の実態で判断されることとなります。
この場合、「わかるまで教える」ということは、「学力の教授」に当たると考えられます。また、教材販売の条件ともなっており、消費者がそれと認識し、かつ、期限の定めもないことから、金額が5万円を超えた場合には「家庭教師」に該当すると考えられます。

(4)学習塾

特定継続的役務 期間 金額
いわゆる学習塾
入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための学校教育法第一条に規定する学校(大学及び幼稚園を除く。)の児童、生徒又は学生を対象とした学力の教授(役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所において提供されるものに限る。)
2月を超えるもの いずれも5万円を超えるもの
Q24「学習塾」について、政令ではどのように定められていますか。
A24規制対象となる「学習塾」について
規制対象となるいわゆる「学習塾」については、政令において以下のように規定されています。具体的には「役務提供事業者の事業所その他の役務提供事業者が当該役務提供のために用意する場所」において提供される、継続的に提供される学力の教授で、入学試験に備えるため又は学校教育の補習のために提供される学力の教授を役務の内容としますが、対象を小学生、中学生、高校生等に限定しています。
「役務提供事業者が用意する場所」について
「役務提供事業者が容易する場所」とは、典型的には学習塾の教室ですが、集会所やマンションの一室等を役務提供事業者が借り上げ、当該場所において役務を提供する場合もこれに含まれます。
注)
・小学校又は幼稚園に入学するためのいわゆる「お受験」対策は含まれません。
・浪人生のみを対象にした役務(コース)は対象になりません。(高校生と浪人生が両方含まれるコースは全体として対象になります。
Q25高等学校卒業程度認定試験(高認)を受験するコースは学習塾にあたりますか。
A25学習塾は対象者を限定している
高等学校卒業程度認定試験は高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験であり、合格者は大学・短大・専門学校の受験資格が与えられ、高等学校卒業者と同等以上の学力がある者として認定され、就職、資格試験等に活用することができます。高等学校卒業程度認定試験に合格するための学力の教授を行うのであれば、学校教育の補習のための学力の教授に該当すると解されます。ただし、「学習塾」の定義は対象者を小、中、高生等に限定していることから、利用者が小、中、高生等でない場合には「学習塾」には該当しません。
学習塾以外の場合
高等学校卒業程度認定試験に合格するための学力の教授が学習塾以外の場所でファックス、電話、テレビ電話などの通信教育により行われる場合や家庭教師の派遣により行われる場合は、「家庭教師」に該当することとなります。「家庭教師」の定義は役務提供を受ける者の限定はありません。専業主婦や無職の者であっても該当します。
Q26公益法人の行う「特定継続的役務提供」に法は適用されるのでしょうか。
A26公益法人等
公益法人、社団法人が行う事業の一部に「当該特定継続的役務提供」類似の事業があったとしても、その事業は公益事業に付随して行われているものであり、営利追求を主たる目的として行われていない限り対象とはならないと考えられます。
Q27月謝制の学習塾にこの章の規制は適用されるのでしょうか。
A271ヶ月単位で契約が更新される月謝制で学習塾の役務が提供されている場合、「政令で定める期間」を満たさないため、本章の規制を原則として受けませんが、例えば、役務の提供に必要である等として教材を販売しており、契約の実態として、役務の提供を受ける者が政令で定める期間を越えて契約に拘束されると判断される場合は、本章の規制を受ける場合があります。